先日の実力テストで、基本的な漢文の返り点の問題を落とした息子……。答案が返ってきたら、記述という記述で点数を引かれまくっていました。そして、国語は過去ワースト2位の点数を叩きだし……。テストが多いので、一喜一憂しないと心がけてはいるものの……。
ああ、記述、どうしよう……。
条件作文の、条件(何字以上で、とか、何段落構成で、とか)はクリアしているものの、内容的にちょこちょこと減点されています。
必要な要素が足りなくて、同じ事を言い回しを変えて何度も書いていたり、書いていくうちに主従がよじれたりしているのです。
これまでに何度も、
「同じ事を何度も書いて字数を埋めていないか読み返しなさい(繰り返しを避けてみても字数が極端に足りないようなら、それは必要な要素が何か抜けている可能性が高い)。」
とか、
「いきなり文章を書き始めないで、ちょっとでいいから構成メモを作って、着地点(結論)をイメージしてから書き始めなさい。」
とか、
「あなたの考えを書きなさい、という問題文でも、題材文の主題から大きく逸脱した論は展開しないこと。」
などなど、思い付く限りのアドバイスを口すっぱく言い続けてきました。
しかし効果は薄く……。
わらにもすがる思いで、
『高校入試 小論文・作文のオキテ55』(安田浩幸)という本を手にとってみました。
著者の安田浩幸さんは、ライトハウス・アカデミーという塾を立ち上げ、高校入試・大学入試などで実績をあげている方だそうです。特に推薦入学の指導力の高さで知られ、小論文・作文は、通信添削も多くの受験生や保護者から支持を得ていらっしゃるのだそうです。
読んでみて、入試における作文のオキテとは、一言で言うなら、
「相手(作題者や採点者)の望んでいることを理解して書くこと。」
なのだな、と思いました。
人は自分の意見を聞いてくれる人に好感を持つ。そのとき、人は初めて、その人の意見を聞く気になるものなんだ。理解される前に理解する、これは人間関係の基本だよ。
ちなみに、日本の東京大学よりずっと評価の高いハーバード大学の入試はエッセイ(小論文)と面接が評価の中心。その入試でもっとも必要な力が、「人に好かれ、信頼され、目をかけてもらえるパーソナリティー(人柄)」と言われている。」
相手のニーズを理解していないと、自分の主張は独りよがりなものになってしまいますものね。
中学生男子(というか、うちの息子)は、他人を理解するより先に、「自分を理解して!」が炸裂しているお年頃だからなあ(苦笑)。
きっと、今の息子には欠けている視点です。
著者の安田さんがおっしゃるには、高校や大学、もっと言うと、国が求めている(入試の小論文や作文で見極めようとしている)パーソナリティーを意識していないとだめなのだそうです。
それは、問題解決能力だとか、周囲の人とコミュニケーションを取れる力だとか、いろいろありますが、高校入試に限って言えば、
「高校入学後、授業についてこられる生徒」
「問題を起こさない生徒」
要するに、努力と人間性が求められていているとしています。
では、これを自分は持っているということを、どのように作文でアピールすればいいのかと言うと、著者は、
Where(問題の本質はどこにあるか)
Why(それは何故起きている問題か)
How(どのように解決するのか)
の順番で示していくとよい、としています。
ああ、うちの息子……。
まずWhereで問題の本質を捉え損ない(全然違うわけではないけれども、微妙にズレている)、Whyで原因分析しても根拠が弱く、Howでは具体性に欠ける提案を言葉を変えて何度も何度も書いてしまう……。
しかも、長い作文だと、論の途中で自分の考えを伝えることに躍起になるあまり、もともと何を聞かれていたか(着地点)を見失い、おかしな着地をしてしまうこともあります(涙)。
息子には、どのように書けば減点されないかという具体的な方法論が必要です。
幸いこの本には、たくさんの論法が示されていました。
好感を持たせる「No-But法」
信頼させる「ストーリー法」
引き込む「タイムスリップ法」
とりこにする「ラスト法」
安心させる「親持ち出し法」
最強の「自分ダメ出し成長ストーリー法」
などなど、
「それ、全部教えて!」
という見出しがズラリと並んでいます(笑)。
また、
テーマ型小論文・作文の攻略法
グラフ・絵・写真の問題の攻略法
賛否両論テーマの攻略法
課題文付き小論文・作文の攻略法
国語の問題に含まれる作文の攻略法
卒業試験
などなど、入試までに何度も読み返して、ものにしたい攻略法がたくさん。
私も言ってきたけれど、うまく説明できずに息子に響いていなかった部分が、図や絵を用いてわかりやすく示されていて、これは息子自身にも必ず読ませねば!と思いました。
塾の国語の先生に記述の添削をお願いしたと言っていましたが、果たして本当に入試までに本当に力がつくのか……。
微妙におかしい文章を添削するのって、する方もかなり骨が折れるので、塾の先生には申し訳ないです(汗)。
あまり小賢しく打算的な文章をスラスラ書けるようになってほしくはない(つたなくても正直な文章を書ける人であってほしい)のですが、せめてもう少し、テストでは減点されないようになってほしいと思います。
入試の記述問題で問われているのは、相手のニーズや、提示されている文章や資料の本質を読み取る能力、そして、その問題を解決する態度や能力があるかどうか、です。
作文・小論文は人と人の問題を解決する学問でもある。
相手を知る最高のトレーニングであり、自分をより素敵な自分に変えていく最高のトレーニングでもある。
相手の頭で考えて、相手の心と体に伝わるように工夫する。
「相手の頭で考える」……。
記述問題に取り組む過程で、自分を掘り下げ、それでいて、まず相手を理解しようとする姿勢が身についてくれたら、こんな嬉しいことはありません。
でもそれは、今のところ、壮大すぎる目標です(苦笑)。