最近とても忙しくて本を読む時間がなく、読みたい本だけがたまっていくという状況です。『インフェルノ』の原作も、ずっと前から読みたくて気になっていたのですが、映画の方の「インフェルノ」を先に観てしまいました(笑)。
原作と映画ではちょっと違うところもあるそうですが、原作はまだ読んでいないので、あくまで映画の感想ですが、書いてみたいと思います。
「ダヴィンチ・コード」「天使と悪魔」に続いて、イタリアの美しい街並みを舞台に繰り広げられる謎解きのお話です。
ダンテの神曲・地獄編に影響を受け、人口爆発を憂える生化学者ゾブリストが、「人口を半分まで減らすか、それとも100年後に滅亡するか」と人々に迫って殺人ウィルスを撒き散らそうとするところから始まります。
主人公は、おなじみラングドン教授。今回は怪我をして病院で目を覚ますシーンからのスタートです。
ラングドンが目を覚ましたとき病室にいたのが、フェリシティー・ジョーンズさん演じる女医、シエナ。一応ヒロインということになるんでしょうけど、んー、個人的な好みを言えば、この顔は、あまりタイプではないです(笑)。キレイな方ですけどね。
『博士と彼女のセオリー』という作品に、エディ・レッドメインさんの妻役で出演していたりと、注目の女優さんらしいですね。
でも、このシエナ。
最初から怪しいと思ってたんですよねー。ラングドン教授の病室でもニコリともしないし、警官(を装った女)に銃撃されたときも、ラングドンを連れて逃げて、さっさと自分のアパートへかくまうし、味方のようにふるまっているけど、実は黒幕なんでは?と思っていたんです。
そしたらね、やっぱり黒幕でしたよ‼
厳密には、殺人ウィルスを撒き散らそうとした、ゾブリスト(ベン・フォスターさんが演じてます)の恋人だったんです。追手から逃げる途中でラングドンを裏切ったときは、
「ほら~、やっぱり~!」
と叫んでしまいました。だいたい私の好みではない顔は黒幕なんです(笑)。
ゾブリストの遺志を継いで?ウィルスを撒き散らそうというのが、彼女の本当の狙いでした。
それに比べて、最初はラングドンたちを追っているのかと思われた、ラングドンの元恋人、エリザベス(バベット・クヌンセンさん)。彼女の顔は好き(笑)。
そしたらやっぱり、エリザベスは味方でした!
私の顔の好みの基準も、捨てたもんじゃありません(笑)。
ダン・ブラウン作品の楽しみの1つに、美術品があると思うのですが、こちらはあまり詳しくなく……。
美しいなあ……と感じるのみですが、今回出てきたのは、ダンテのデスマスクと、ボッティッチェリの「地獄の見取り図」、あと、いろいろな絵でした(笑)。
あとは、吹き替えで観ていたのですが、ラングドンの声優さん(江原正士さん)の声が、時々、美輪明宏さんの声に聞こえるということに、ちょいちょい気をとられました(笑)。なんだかこの感覚は覚えがあるぞ~と思ったら、江原さんは「ハリーポッター」のヴォルデモートの声も担当されていたんですね!そうそう、確かに、ヴォルデモートの声を聞いた時も、美輪さんの声に聞こえた瞬間があったんだよなあ……。は~、なるほどねえ。理解。
なんだか顔の好みとか声優さんの声とか、そんな枝葉末節にばかり気を取られて、肝心の中身はどうだったんだ!という声が聞こえてきそうですね(苦笑)。
内容的には、「人類を救うために幾ばくかの人が犠牲になるのはしょうがない」としてウィルスを撒き散らそうとするシエナに、ラングドンが言った一言、「それは暴君の理論だ!」
これがすべてではないかなあと思いました。
何かを守るという大義名分のもと、何かを犠牲にしてもかまわないという理論は、確かに暴君の理論です。
これからは、何をするにもWin-Winを目指す時代ですよね。
ゆがんだ正義をふりかざすことへの警鐘。
優れた脳みそも、正しい良心のもとに使われないと諸刃の剣。
美しい映像を観ながら、そんなことを考えた作品でした。