中学校の部活のやり方、私自身が中学生だったころと比べて、ずいぶん様変わりしたものだと思います。
夜の練習は必用でしょうか?
息子が通っているのは、ごく普通の公立中学校なのですが、ほとんどの運動部に夜の練習があります。曜日が決まっていて、毎日というわけではありませんが、部活によって、17時から21時くらいまでの間に2時間ほどを設定して練習しています。
学校内で活動する部活動とはまた別に、
「スポ少練習」「父母会練習」
などと称して、別の施設に移動して、学校管轄外という状況で練習するのです。
学校で普通に部活をやった後に、です。
もちろん、大人は誰かしら付きます。「スポ少練習」であれば、指導者となる地域の大人の方々がついて指導してくれていますし、「父母会練習」であれば、父母会の中から当番を決めて、毎回見守りの保護者がついているようです(基本的に、学校の部活の顧問の先生は居ません)。
私が中学生だった頃は、そこそこ忙しい部に所属していましたが、学校で17時なり18時なりまで普通に部活をやったあと、夜に別の施設に移動してまた練習する、などということはなかったので、とても違和感を感じます。
大会前の延長時は夜練習は無くなるかと思いきや、普通に行われます。そんなにぶっ通しで夜遅くまで練習して、果たしてどれほどの効果があるのだろうと疑問です。疲れるだけではないでしょうか?
また、何故、夜でなければならないのか?という疑問もあります。土日は土日で朝早くから部活をしているのだし、大会前には、学校での部活動時間を、ちゃんと「延長」しているのです。さらに夜やる必要があるでしょうか?
親の協力はどこまで?
親にも仕事がありますし、中学生以外のきょうだいが居る家庭も少なくないわけで、夕飯やお風呂、宿題をするなどの時間帯に、夜練習の送迎で出たり入ったりする親の負担はとても大きいものです。いつからこんなシステムになったのか、そして、どうしてこんなシステムがいつまでもまかり通っているのか、疑問でなりません。「部活はあくまで部活であって、やりすぎは良くない」という考え方の私にとっては、何年たっても慣れることのできないシステムです。
しかし、このシステムに疑問を感じない、むしろこのシステムを歓迎している親御さんもいらっしゃるようで……。子どもにそのスポーツの才能があり、スポーツ推薦などで進学を目指しているご家庭や、親御さんご自身が体育会系で熱心な方々などは、「子どもが頑張りたいことのために、親が時間を割くのは当然」という考え方だと聞きます。
そういう親御さんは、土日の練習試合が他県で組まれている時でも、文句も言わず、むしろ率先して、自腹で費用を出し、自分で運転して送迎しているそうです。
すごいなあと尊敬はしますが、真似はできません。
私は片道1時間の送迎でもかなり負担に感じます(遠いですよね?)。
片道1時間ということは、いったん家に戻るには遠く、かといってずっとその場で待っているには、下の子を連れていると長すぎる、ということになり、どうにもこうにも大変なのです。道もわからないところだったりすると、ハードルはグンと高くなり、めまいが……これでよそのお子さんも乗せて行くなんてことになったら、プレッシャーで眠れません。
私が中学生のころは、子どもが自力で移動できない所で何かあるときは、部活でバスを借りていました。親が片道1時間も送迎するなんてなかったので、この、週末のロングな親送迎を当たり前に要求されることについても、驚いています。
子どもに部活を頑張らせたい親御さんで、自分もかなりの時間を部活のサポートに費やせる方ならいいのでしょうが、事情があって、「どうしても送迎できないので、子どもにその部活を諦めてもらった。」という親御さんも私の周りでは少なくありません。他の親御さんにお願いするにしても、毎週のようには頼めませんものね。クラブチームやスポ少なら、対応できる人だけが入っているので問題ないのでしょうが、なぜ普通の公立中学校の部活で、「親が対応できないから入部を断念せざるを得ない。」というようなシステムがまかり通っているのでしょう?
学校の「部活」の本質
もっと、どんな子にも門戸が開かれていて、上手い子も、そうでもない子も一緒になって1つの目標を目指す、というようなものではないのですか?部活って。仲間ができたり、仲たがいしたり、それを乗り越えたり、リーダーシップを学んだり、先輩を敬ったり、後輩を労ったり……。
努力することを覚え、結果を受け入れることを学ぶ。
そういう経験を積んで、人間的に成長することが目的ではないのですか?部活って?
そこに、夜遅くまでの練習、土日のたびに遠征……必要あります?
私が古いのでしょうか?
また、中学校側は、「夜の練習は学校の管轄外のことだし、強制ではない」という姿勢を取っていますが、強制ではないと言われても、部活内に、暗に行かなければならないような雰囲気があったり、先輩が休まず出ていたり、自分が部長やキャプテンであったりすれば、そうそう休めませんよね。そういう実態もおそらくわかってはいるもののスルーしている(個人の、あるいは個々の家庭の判断に任せている)という現状のようです。夜練習で子どもが体調を崩しているという保護者の訴えに対しては、学校側は、
「では強制ではないので夜練習に出るのをやめてください。」
というのみだそうです。でも子どもは、レギュラーになりたいし、周りの目も気になるので、休むことが怖い。そして出る。そして体調は悪化……。こんな悪循環を、この間までランドセルを背負っていた中学生に強いていいのかなあと疑問です。もうちょっと規則正しい生活をさせてやるべきではないでしょうか?
求めることを減らす
学校の先生方の過剰労働を緩和することは大事です。でもそれは、負担の担い手を親にスライドすることではなくて、現場への「勝たなければならない」などの過度の要求を減らすことを指すのではないでしょうか?
先生方の負担を軽減しても、現場に課されていることは減っていないのですから、その皺寄せが親にかかってきているということなのではないでしょうか?親だって、教育費を稼ぐ「仕事」だけで精一杯なのですから、それ以外にかけられる時間、体力は限られています。責任の所在のたらい回しをしているだけでは何の解決にもなりません。
いちばん皺寄せをくっているのは子どもたちです。何もそんなに部活部活と血眼になる必要はないと思うのです。必要以上に「勝ち」を要求するから、練習がエスカレートしていくのではないでしょうか。
現場への要求を減らさないと、責任の担い手が先生になるか親になるかの違いでしかなく、子どもたちのハードすぎる生活は変わりません。「勝ち」を追究したい人はそれこそクラブチームやスポ少で頑張ればいいのであって、学校の部活では求めることが違うということをはっきりさせたほうがいいと思います。
強豪校などの、厳しい環境を選んで入ったなら、いいのです。自分で選んだのですから。
でも、普通の学校の普通の部活に入ったつもりが、もれなくクラブチームやスポ少がついてきたようなハードすぎる事態になって、アップアップしているという親子は、たくさんいると思います。
地域によって、また学校によって違いも大きいのかもしれませんが、少なくとも、私の周りでは、かなり無理をして部活をやっていて、ただひたすら引退を待つのみ、という親子が多いです。
関わる人が、ただただ大変な思いをする部活ではなく、子どもがやりがいを持って打ち込むことができ、親も気持ちよくサポートできる、そういう部活の環境を求めたいと思います。
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