中学校の国語の教科書で、よく、『走れメロス』(太宰治)が採用されていますよね。
私も確か中学校で習ったような気がします。

走れメロス 太宰治 名作選 (角川つばさ文庫 F た 1-1)
- 作者: 太宰治,齋藤孝,藤田香
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2010/02/15
- メディア: 単行本
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この話の主題は、一言で言えば、「メロスとセリヌンティウスの友情」と教えられていると思うのですが……
子どもの教科書に載っていたので読み返してみましたら、一言で「友情物語」と片付けていいのか?という突っ込みどころが満載で。
まず、メロスは、妹の結婚式の買い物をしに行った街で、ディオニス王の暴君ぶりに腹をたて、その足で王のもとへ乗り込み、いきなりケンカを売るわけです。(王は確かに肉親にも民にも暴挙に及んでいましたが、いきなり乗り込んでケンカを売るメロスも、なかなかに衝動的で失礼なのではないのか?)
そして、王とケンケンガクガクする中で、メロスは突然、友人セリヌンティウスを人質として差し出します。自分が3日後に戻ってこなければセリヌンティウスの処刑もやむなしという約束で。(いやいや、何故に勝手にセリヌンティウスを差し出す?しかも命をかけてますよ、他人の命を!)
そして妹の待つ村へ急いで帰り、またしても突然、婿になる男に、すぐに結婚式を行うと告げます。婿は準備が何もできていないと至極まっとうな話をしますが、メロスは説き伏せてしまいます。(だいたいメロスが衝動的に王にケンカを打って、勝手に3日で戻ると約束し、勝手に友人を人質として差し出したから、こういうことが起こっているわけですよね?一生に一度であろう結婚式を急がされるほうの迷惑たるや……)
そして、結婚式は無事に行われました。しかし自分は中座し、セリヌンティウスのもとへ戻るわけですが、その道中で、濁流やら山賊やらの苦難に見舞われ、諦めそうになります。(自分はこんなに頑張ったのだからもういいか、といって友人の命を捨てそうになる……あまりに勝手で、まったく同情できません)。
やっとこさセリヌンティウスのもとにたどり着いて1発ずつ殴り合い、王も2人の友情を認めて、めでたしめでたし。(王も王で、自分も仲間に入れてほしいとか言うのですが、勝手に命を差し出したりし合う仲の仲間に加わりたいの?)
こんな感じで、すべてはメロスの衝動的な行動かつ自己陶酔によって引き起こされた、えらいはた迷惑な話に思えるのです、私には。
私はセリヌンティウスのように命をかけさせられたわけではありませんが、身近な人から勝手にあてにされて迷惑を被ったことがあるので、余計にメロスを認められないのかもしれません。
その人は、近所に住む、フルタイムで勤務されているお母さんでした。お子さんが小さかった頃、鍵っ子にして自分がフルタイムで働くことに不安があったのだと思いますが、自分の子どもに、
「何か困ったことがあったら〇〇さんち(私の家)に駆け込みなさい。」
と教えていたらしいのです(だいぶあとになって本人から聞きました)。
そのため、その人のお子さんはことあるごとに我が家に駆け込み、さらに小さい子どもがいた我が家では困ることも多かったのです(お昼寝させたいのに騒がれてできないとか、出掛ける用事があったのにその子が来ちゃって出られないとか)。
私の在宅の仕事は仕事だとは思われていなかったのか、駆け込んだお子さんを引き取りに来たついでに、うちにあがってお茶を飲んでいったことまであります。
メロスの話を読んでいたら、その時の記憶が蘇ってきました。
なぜ、勝手に、私の承諾を得ないままに我が家を駆け込み寺と決め、自分の子どもに教え込むのか?
なぜ、突然子どもを預かってもらったのに、引き取りのついでに上がり込んでお茶を飲むなんていうあつかましいことができるのか?
なぜ、「ご迷惑をおかけしちゃって……」と口では言いながら、何度も何度も子どもを駆け込ませるのか?そうやって、私にタダで子守りをさせている間に、自分はお給料を得る仕事をしているわけですよね?
いろんな気持ちがグルグルして苦しかったし、勝手にあてにされて本当に困っていたので、だんだんとその人からは距離を置きました。
太宰についてはまったく詳しくないので、こんなことを書いたらファンの方に叱られるかもしれませんが、なぜこの話が長年教科書に載っているのかわかりません(もしや、メロスの傍若無人さを反面教師にしなさい、的な目的で?!)。
自分が中学生のときには、こんな違和感を覚えた記憶はありません。「友情物語」として普通に受け入れていたと思います。
恐らく、今の私がこの話を受け入れられないのは、自分が勝手にあてにされていたという不快な記憶によって、過敏に反応しているだけでしょう(苦笑)。
でも、試しに息子に聞いてみました。
「メロスをどう思う?」
と。そしたら、
「友達を人質に差し出すとか、無いでしょ。」
と言っていたので、ああ、そこのところ、おかしいと感じてくれているなら、まあいいわ、と思ったのでした(笑)。