サラッとした装丁ながら、読んでみたら「なるほど!」の連続だった本があります。
人生における「十二相」とは
辰巳渚さんは、人生を「十二の相(フェーズ)」に分けるという考え方を提唱していらっしゃいます。
具体的には、人生を、就職して結婚して出産して~という一連なりのものと考えるのではなく、就職や結婚をしたら「自立」のフェーズにひょいっと飛び移り、子どもが産まれたら「子育て」のフェーズにひょいっと飛び移る、というようなイメージでとらえるのだそうです。
また、十二のフェーズは、
①ひとりだちプラットフォーム
②つながりプラットフォーム
③まとめあげプラットフォーム
という、三つのプラットフォームに大きく分けられています。
①ひとりだちプラットフォーム
第一フェーズ=第一の薄暮期…誕生~三歳頃。
第二フェーズ=真似期…三歳頃~六歳頃。幼児期。
第三フェーズ=手伝期…六歳頃~十二歳頃。
第四フェーズ=第一の自主期…十二歳頃~二十二歳頃。
②つながりプラットフォーム
第五フェーズ=自立期…二十二歳頃=二十七歳頃。
第六フェーズ=第一の模索期…二十七歳頃~三十五歳頃。
第七フェーズ=第一の繁忙期…三十五歳頃~五十歳頃。
③まとめあげプラットフォーム
第八フェーズ=第二の模索期…五十歳頃~五十五歳頃。
第九フェーズ=第二の繁忙期…五十五歳頃~七十五歳頃。
第十フェーズ=第二の自主期…七十五歳頃~八十五歳頃。
第十一フェーズ=第二の薄暮期…八十五歳頃~。
第十二フェーズ=記憶期…人々の記憶の中に生きる時期。
フェーズごとに捨てるもの
私の子ども達が属するのは、「第四フェーズ=第一の自主期」ということになりますが、この時期に捨てるものとして、「生活習慣に関する親の指示」とあります。
親から指示されなくても、衛生面や生活面で、自分のことは自分でケアできるようになるということだそうです。
また、この時期に残すべきものとして、「親の監督・大人への依存」を挙げています。
アルバイトや友達との旅行などにチャレンジしながらも、まだ自分一人で何でもできるわけではないということですね。
親に言われて初めて気づくこともあり、大人の助言がまだ必要な時期なのです。
中学生になったから、高校生になったからと、急に何でも許し、手を離すのではなく、まだ適切な大人の関わりが必要な部分を見極めながら接していく必要があるのですね。
また、母親として生きる私は、「第七フェーズ=第一の繁忙期」にあたります。
繁忙期(◎_◎;)。
まさに!
この時期に捨てるものは、「単純な成長や獲得への期待」だそうです。
二十代までは「成長し続ける自分」でいられたけれど、もうわかりやすい成長はなく、「あとは下るだけ……」とさびしくなってしまう……。
でも、「段取り力」や「同時にたくさんのことをこなす力」などが備わり、タフに生きていける楽しみな時期でもあるそうです。
下り坂なことばかりではないというところに、勇気がわいてきます。
フェーズごとに「捨てて行くもの」「残していくもの」があるという考え方が新鮮でした。
『動的平衡』の考え方
辰巳さんは、この本の中で、生物学者で『動的平衡』の著者である福岡伸一さんと対談されていて、その中で、
私たちは食べて活動して老廃物を捨てていって、見た目は昨日も今日も一年後もだいたい似たような私でも、ほんとうはダイナミックにまわっている大きな流れの中にいるんだ
と、おっしゃっています。
興味深いのは、暮らしの回りかた(作っては食べて無くなる、とか、掃除してはまた散らかる、とか、洗ってはまた汚れる、とか)は、人間の細胞の均衡の保ち方(捨てては作り、作っては捨てて、おおまかな一定の状態をを保っているところ)と似ている、というところです。
細胞レベルと、暮らし・人生という大きな流れを比べてみたとき、「絶え間なく作っては絶え間なく壊して均衡を保っている(「動的平衡」)という点で一致している、というところが、面白いなあと思いました。
何か大きなダイナミズムに抱かれて、様々なフェーズを生きている私たち。
そう考えると、そのときどきのフェーズを精一杯生きていればそれでいいと言われているような、なんだか少し安心な気がするのは、私だけでしょうか(^_^;)。
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