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『育母書』(浜文子)レビュー

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※この記事は、2016年12月5日の記事をリライトしたものです。

 

浜文子さんの、『育母書』という本があります。

2008年に新装版(メディカ出版)が出されていますが、私が初めてこの本に出会ったのは、1999年発行のもの(立風書房)でした。

うちの子達が幼稚園に通っていた頃のことだったと思います。

 

 

 

「育児」ではなく「育母」とはどういうことか。

子育て何年目のお母さんにでも、響く内容の本だと思います。

 

 

 

追い詰められていた時の出会い

 

うちの子達が小さかった頃、とにかく体が弱くて、ちょっと風邪をひくと、病院に通っていても幼稚園を休んでいても、食べさせても寝かせても、何をしてもこじらせて入院まで行ってしまう、ということが続きました。

 

「ちゃんと食べさせてるの?」

「愛情が足りないんじゃない?」

 

周りからそんな言葉をもらうこともあり、

 

「きっと自分の育て方が悪いのだろう…でも、これ以上どうすれば?」

 

と、だんだん追い詰められて行きました。

 

そんな時に、書店でこの本が目に留まりました。

まずタイトルから目が話せなくなり、思わず手に取って中身をペラペラとめくっていくうちに、

 

「これは…買って帰らなくては!(=゚ω゚)ノ!」

 

と言う気持ちになっていました。

 

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読んでみると、

 

「ありのままのあなたでお母さんをやればいい」

「子どもと一緒に母として育てばいい」

 

というようなことが書かれてあり、フッと気持ちが楽になりました。

 

数々の「育児書」に書かれている、「あるべき母親の姿」からはずれてしまう自分への焦りや情けなさを、わかってもらえた、という安堵を感じたのです。

 

それ以来、この『育母書』は、ずっと私の子育ての伴走者になってくれています。

 

   

 

「母は強し」は結果論

 

「母は強し」と、よく言われますが、私はこの言葉を言われるとプレッシャーに感じます。

 

子どもを身ごもったからといって、その日から急に強くなれるものではないし、「母性」も、身ごもったその日から急に備わるというものでもないんですよね。

 

私は、「母は強し」という言葉は、「自分では普通にやったことが、結果として、他人から強いと評価された」という結果論だと思っています。

 

私自身、子どもが産まれる前から、

 

母は強しなんだから、がんばりなさい。」

母は強しなんだから、このぐらい何でもないはずだ。」

 

と、どれだけの人に言われてきたかわかりません。

 

私もそうだったように、周りから「母は強し」を期待されるばっかりに、自分の不安や苦しみを言い出せず、心身の調子を崩す母親のなんと多いことか…。

 

「母は強しなんだから、家事も育児も立派にこなし、さらには自分にしかできない何かでキャリアも積んでキラキラと自己実現を…」

 

_(:3 」∠)_

 

むーりー_(:3 」∠)_。

 

「母は強し」を、結果論ではなく大前提として捉えていたから、苦しくてしょうがなかったんですよね(^▽^;)。

 

母親の自己実現は育児の中にも

 

でも、浜さんは、そんな気持ちを理解してくれます。

そして、ご自身も悩みながら子育てされてきた経験を語られ、寄り添ってくれるのです。

 

 「あなたのままで母を生きる

「女性の体とは、なんと哲学するように作られているのだろう。」

育児は科学ではなく文学です。」

「自分の青写真通りに人生を進行させることだけが自己実現なのではなく、育児の中で自己実現は始まっていると言いたいのです。」

赤・太字ママンによるものです。)

 

浜さんの、こんな言葉を読むうちに、

 

「自分の時間なんて全くない今の生活も、私の人生の欠かせない1ページなんだ。」

 

と思えて、楽になりました。

 

「なんだかうまくいっていないし、カッコ悪いし、キラキラには程遠いけれど…まぁ、しょうがない、今はそんな季節なんだから。」

 

と、「母は強し」という虚像を追わなくなりました。

 

人生が1つの物語だとしたら、子育てで悩みながら生きる日々も、1つの豊かな章である。

 

『育母書』に出会ってから、私は、母親になった女性の自己実現について、「育児と切り離されたところにあって、育児と両立するもの」だとは思わなくなりました。

 

母親の自己実現は、育児の中にも、ちゃんとある。

 

そんな想いも、このBlogを始めた理由の1つだったように思います。

 

 

『育母書』は、「母たるもの~であるべき」と母親を縛り付ける本ではなく、すべての母親の在り方に寄り添ってくれる本でした。

 

この本に出会ってから20年近く経ちますが、『育母書』は、今でもママンの書斎の特等席に置いてあります。

 

 

※※※※※

2021.6.28 追記

 

母親になった女性は、自分のためだけに生きるというわけにはいかず、自己実現が難しくなると思われがちですが、はずっと、「母親」を生きることこそが自己実現、ということもあるのではないかと思ってきました。

 

そして、子ども達の成人が見えてきて、もうそろそろ子育ても卒業かなという時期にさしかかった今、は西洋占星術の「自分の太陽を生きる」「自分の太陽を獲得していく」という考え方に出会いました。

 

「自分の太陽」とは、「自分の人生の目標・使命・目指したいこと」などという意味です。これは、言い換えると、「自己実現」ということになるでしょう。

 

の場合は特に、西洋占星術のホロスコープから、産まれた瞬間の太陽が「家庭」を表す場所に位置していたということ、つまり、「自分の太陽」すなわち「人生の目標・使命」が「家庭」にあったということがわかり、自分自身が家庭にコミットしてきた理由がわかったので、深い納得が得られたんですよね。

 

↓ そのことについては、「ナナトピ7KG」さんに寄稿させていただいた記事の中で、詳しく触れています。

 

news.7kg.jp

 

長引くコロナ禍の真っただ中で、時代は大きく変容し、「風の時代」「水瓶座の時代」に入ったと言われています。「多用性」「個の時代」と表現される時代になったのです。

 

そんな新しい時代の母親の在り方は、母親の数だけあっていいし、必ずしもインスタ映えするようなキラキラした毎日でなくたっていいのだと思います。

実際、の子育ての日々も、キラキラには程遠いまま、20年経とうとしています。

 

でも、どんな形であれ、すべてのお母さんが、「自分の太陽」(自己実現)パートナーや子どもに預けてしまうことなく、子育て期間を主体的に、肯定的に生きることができたらいいなと思うんですよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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