特に「読書の秋」だから、というわけではなく、私は年がら年中読書しているので、本や図書館や書店が好きです。
だから、そういうものを題材にしている小説などには、つい食指が動きます。
今日は、最近読んで面白かった、本と図書館を題材にした小説をご紹介します。
『君と読む場所』(三川みり)
これは仕事の関係で手に取ってみた本なのですが、面白かったり考えさせられたりして、強く印象に残りました。
主人公は中3の男の子です。
この男の子が、ちょっと偏屈なおじいさんと、知り合いというか、お友達なわけなんですが…。
このおじいさん、名前が「七曲直(ななまがり すなお)」と言うのです。
ぎゃははは(≧▽≦)!
七つも曲がってるのに、「直(すなお」なわけ!?
いやだ、面白い(≧▽≦)(≧▽≦)!
この著者のネーミングセンスにロックオンされまして、どんどん読み進めたら、まぁこの七曲さんの偏屈なこと!
七曲さんは、ものすごい読書家で、蔵書が二千冊もあるので、家がゴミ屋敷ならぬ本屋敷みたいになってるんですよ。
それで、家の前を通る中学生なんかに、
「おい!そこの中学生!本、持ってけ!」
などと迫るわけです。
こんなおじいさん、近くにいたらタジタジとなってしまうけれど、ちょっとお友達になりたいかも(´艸`*)。
主人公の中学生と七曲さんの出会いについては、前作があるようです。
あるとき、主人公の中学生が、図書館で職場体験をすることになりました。
それを聞いた七曲さんは、自分の蔵書を図書館に寄贈したいと言い始めます。
ですがその寄贈、二千冊もあるわけで、図書館としても、保管場所に限りがあるため、すべてを書架に並べることはできない、場合によっては廃棄もあり得るが、そういうことも含めて、寄贈後の本の扱いについては図書館に一任してもらう必要がある、と司書さんに言われるわけです。
これを聞いた七曲さんは、
「司書が本を廃棄するなどと…!」
と怒りに震え、その司書さんを魔女呼ばわりする始末。
全然「直(すなお)」じゃない(^▽^;)。
でも中学生も、本には神様がいると聞かされて育った子なので、本を廃棄するということに抵抗を覚えます。
私も紙の本が好きですが、どんどん増える本の収納に困るのはよくわかるので、この問題はちょっと考えさせられました。
七曲さんほどではありませんが、まぁまぁな量の本に埋もれて暮らしておりますゆえ_(:3 」∠)_。
小説では、中学生達が中心となって、七曲さんの蔵書の行方をどうするか、司書さんも巻き込んで、みんなで解決策を考えます。
私は、この流れの中で、電子書籍に対する考え方も、新しい発見がありました。
最初はライトノベルなのかな~と思って、正直あまり期待してなかったのですが(すみません)本や図書館、書店や出版業界のの未来を考えるのに、とても良いお話でした。
『ライ麦畑でつかまえて』(サリンジャー)
余談ですが、七曲さんの偏屈さに触れてカチンときた司書さんが、
「なんか、ねぇ。…ホールデンみたいだわ」
と、『ライ麦畑でつかまえて』の主人公に例える場面があるのです。
恥ずかしながら、私はこの名作を完読したことがなく…。
学生の頃に読んでみたのですが、なんだか単調で冗長に感じられ、誌面のレイアウトもダラダラと延々続く感じが読みにくくて、途中で挫折したままになっていました。サリンジャーさん、ごめんなさいm(__)m。
でも、ホールデンが七曲さんのキャラと被るなら、読んでみようかなという気になり、今また挑戦しているところです。
名作に出逢う(受け入れる)にも、時期というか、タイミングというものがあるんだな~と感じました。
1冊の本をきっかけに、その前作や続編、その著者の他の作品や、本の中に出てきた別の作品と、「本が本を呼ぶ」状態になっていくのも、読書の面白さ、やめられないところですよね。
子ども達にも、そんな読書を経験してほしいなと思います。
うちの子達は今、読書する時間がほとんど取れない高校生ですが、大学生になったら、七曲さんのように、人に
「持ってけ!」
と言えるほどに、たくさん本を読んでほしいと思います。
七曲さんは、「本の自動販売機」と称して、不格好なベニヤ板の大きな箱にクリスマスツリーの電飾のようなものを半端に巻き付け、誰かが100円を入れると、その箱の中に入っている自分が本を見繕ってゴトリと出す、という怪しいことも嬉々としてやっていました。
私も、ママンの書斎の蔵書をどうするか、考えながら本を読んでいきたいと思います(^▽^;)。
いつかママン城の前に、怪しげなベニヤの大きな箱があったら、それは本の自販機です。
ママンが入っております。
こわっ((((;゚Д゚))))!
何が出てくるか、お楽しみですわよ~(≧▽≦)!
高校生のいる暮らし
本と共にある暮らし