最近、銀色夏生さんの最新刊『力をぬいて』という本を読みました。
この本は、「銀色夏生流生き方エッセイ」だそうです。
銀色さんが、これまでに詩集やエッセイに散りばめてこられた思考のカケラを1冊にまとめたような本で、そのカケラを拾い集めるのが好きだった私としては、ぜひとも手元に置いておきたいと思い、購入を決めました。
また、この本には、『外的要因に左右されない個人的幸福の試み』というサブタイトルがついています。
外的要因に左右されない個人的幸福!
それって、人生の究極の目的!
銀色夏生さんの本
私が高校生の頃、銀色夏生(ぎんいろなつを)さんの詩集がとても流行っていました。
小さな、ヴェールがかかったような装丁の本で、裕木奈江さんや、子ども時代の吉高由里子さんなどの写真も使われていました。
私はその装丁に惹かれて、いわゆる「ジャケ買い」から入ったのですが、写真に組み合わされた詩からも、言葉の力を感じるようになりました。
↑ そうそう、こういうのでした。
また、銀色さんの『つれづれノート』という日記風エッセイには、銀色さんの日々の思考や子育てについての素直な感想が綴られていて、お子さんたちの写真も毎回載っているので、それが楽しみで、読み続けてきました。
↑ これは『つれづれノート』の最新のもので、なんと36冊目!
銀色さんが30歳頃から約30年間分の日記…。もはや1つの歴史ですね。
もともとは作詞家としてスタートしている銀色夏生さん。
詩集の雰囲気から、夢見がちな人と思われている部分もあるかもしれませんが、私は、20年以上銀色さんの本を読んできて、とても思考がシャープな方だと感じています。
書き続ける意味
この記事は『力をぬいて』についてレビューしようと思っているのですが、この本がこれまでの銀色さんの思考のカケラをまとめたような本である以上、約30年分の日記である『つれづれノート』についての言及は避けられないので、ちょっと書きますね。
『つれづれノート』は、20年以上ずっと読んできているので、ずっと一緒に人生を歩んできたような感覚があります。
折に触れて、日常の記録の中に散りばめられた銀色さんの思考のカケラに共感したり、救われたりしながら生きてきたのだと思うと、感慨深い…。
人生に寄り添ってくれる本(文章)があることの幸せもまた、「外的要因に左右されない個人的幸福」だと感じます。
約30年分の日記風エッセイ『つれづれノート』について、銀色さんは、
もし私が死んだ後に子どもたちが歳を取って自分と同じ年齢の時にママはどんなことを考えてたのかなとか、子どもの頃の自分を知りたい、と思った時の資料になります。すべてを書いているわけじゃないけど大まかにはだいたい書いてありますから。
と、書いてらっしゃいます。
これは、私がブログを書く理由の1つでもあります。
私が母親として、子ども達をどう見ていたか、どんなことに心を動かされていたか、そういうことを、将来子ども達が知りたいと思うことがあったら、何かの役に立つかなと…。
書くことに疲れたり、ブログ運営上面倒なことや嫌な事があったり、全然収益にならなかったり(^_^;)して、もういいかな、やめようかな、なんて思うこともあるのですが、まだ続けているのは、
「私の母親として生きた日々の軌跡を残しておきたい。子ども達のために。」
という思いがあるからです。
「私が死んだ後も、子ども達を支えるものを書いておきたい。私が自分の力で残してやれる財産は、たぶん文章しかないから。」
という思いですね。
収益とか、読まれるための云々とか、情報発信とか、読者数とかPVとか、そういうことも大事ですが、正直、私はあまり得意ではない分野(^_^;)。
私は、私自身の本来の目的を忘れないようにしたいと思います。
自分だけの虹
やっと『力をぬいて』のレビューに入りますが(^_^;)、「外的要因に左右されない個人的幸福の試み」に人生を捧げてきた銀色さんがたどりついた、1つの答えのような章がありました。「幸福は自分だけに見える虹」というタイトルがついています。
自分の幸福は、自分にとってだけ価値がある。自分の中の過剰さと欠乏、その落差にできる滝にかかる虹のようなものだ。
人の価値観に左右されている限り、正しいと思うことはゆらぐ。
他人の虹は他人を導く。
自分の虹だけが自分を導く。
銀色さんのこういう言葉、思考のカケラに、ハッとしちゃうんですよね~。
『つれづれノート』は、今日は何を食べたとか、朝起きたらいつも以上に髪の毛が爆発していた(笑)とか、そんなごく普通の日記の中に、こういう言葉が突然散りばめられているんです。だから癖になっちゃう(^_^;)。
ブログを書く意味について、「自分の本来の目的を忘れないようにしたい」と書きましたが、「自分の虹」をしっかりと心に架け続けていたなら、「他人の虹」に惑わされるということがないはずなんですよね。
でも、銀色さんも、「外的要因に左右されない個人的幸福」について、長年かけて試行錯誤・追求されてきたようなので(詳しくはこの本に書いてあります)、人生は、みんな、その道の途中なのかもしれませんね。
この本は、「自分軸をしっかりさせる」というようなことについて学べるのかなと思って読みましたが、図らずも、「長い間書き続けるということについての、自分なりの意味」というものを考えさせられました。
レビューと言えるかどうかわかりませんが、「本って、本当にいろんな気づきをもたらしてくれるなぁ。」と、その媒体としての可能性に、あらためて驚嘆している次第です、はい(^_^;)。
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