この間、辰巳渚さんの遺作となった、『あなたがひとりで生きていく時に知っておいてほしいこと ~ひとり暮らしの知恵と技術』 という本について、目次だけご紹介しました。
その後、熟読して、新たに思うところがあったので、少し追記しておきます。
適切に人を頼るということ
この本は、ひとり暮らしを始める人、また、お子さんにひとり暮らしを始めさせる親御さんに向けて書かれているのですが、「誰にも頼らずに、なにもかもひとりでやっていきなさい。」と書かれているわけではありません。
むしろ、「他者を頼りにできること」が大事だと書かれているのです。
私は、「真にひとりの孤独と限界を知った人は、真に他者を頼りにし他者とともに生きていくことができる」と思っています。あなたがもし「なんでも自分でできる」と自分に宣言したのであれば、他者への依存や支配に陥らない強さをもちつつも、他者と支え合える人間関係を築けるようになれるはずです。
自立して生きていくために必須の力は、他者の支援を受ける力です。「自分でなんとかしなければ」と努力するのはすばらしいけれど、「なんでも自分でなんとかできる」と思うのは無知というものです。さらに事態を悪化させることになっては周囲が迷惑します。
ひとり暮らしの時期は、失敗も含めて人生を知る時期。困ったら、人を頼る強さをもってください。
ひとり暮らしをするということは、ひとりの限界を知ることでもあります。
ひとりでは生きていけないのだと痛感すると、周囲への感謝も生まれてきますよね。
ささいなことでトラブルを起こさずに、上手にお付き合いするのは大切なのです。
「ひとりで暮らす」ということを考えると、最終的には「他者と上手に共存する」というところに行き着く。
誰にも頼らないというのは到底無理な話だし、助けてもらう(もらった)こともあると思えば、できるだけ周囲と良い関係を保とうとするものですよね。 それが「大人になる」ということでもあると思います。
陳腐な言葉ではありますが、「人はひとりでは生きられない」のです。
あなたが、ひとり暮らしの経験から、「自分の力で、自分の人生を、よりよく生きていこう」とする時、必要に応じて支援を求められる柔軟さと賢明さを持てるようになっていることを期待しています。
うちの子どもたちも、ひとり暮らしを経験して、そういうふうになってくれたらいいなと思います。
孤独や寂しさに耐性をつける
辰巳さんは、お母さまに、なかなかひとり暮らしを許してもらえなかったそうです。
26歳の時、ようやく許してもらえて、憧れのひとり暮らしにこぎ着けたのだとか。
でも、その引っ越しを手伝いに来てくれていたお母さまが帰られた夜、猛烈に寂しさを感じたのだそうです。
何年も恋い焦がれて始めたひとり暮らしですが、ようやくひとりの暮らしを得た夜は、ひとりであることの寂しさを心底味わったのです。人は、自由を得る代わりに孤独をもしょいこまなくてはならないのかもしれません。
また、高校生の頃からひとり暮らしを熱望していた息子さんも、引っ越しを終えた夜に、
「思ったより寂しいものだね。」
というメールをよこしたのだそうです。
自由を謳歌できるのも、他者に感謝できるのも、ひとりの孤独を知ればこそ。
ひとり暮らしに限らずとも、寂しさや孤独に対しての耐性は、つけていたほうが良いのでしょうね。
人生を十二の相(そう)で考える
ひとりで暮らしてみるということは、家事を通して健康を保ち、自分なりに暮らしを回すことを覚えるということです。
その先には、人生の流れを知って、自分なりに設計をする、ということがあります。
辰巳さんは、人生を、十二の相(そう)に分けて考えていらっしゃいます。
ちなみに、アラフォーの私は、「第七フェーズ・第一の繁忙期」という段階にいます。
確かに忙しい(◎_◎;)!
子どもたちは、「第四フェーズ・第一の自主期」という段階です。
この先、自分はどのフェーズに進み、それはどんな時期で、何を獲得して何を捨てて行くのか……。
ざっくりとでもそれがわかっていると、生きやすいのかなと思います。
「人生の十二の相(フェーズ)」に関しては、過去に記事にしていますので、よろしければご覧くださいませ(*^-^*)。
「ひとり暮らし」おめでとう
なんだかんだと書いてきましたが、辰巳さんは、この本の冒頭で、ひとり暮らしの機会に恵まれた人に「おめでとう」という言葉を贈っていらっしゃいます。
それは、ひとり暮らしは、暮らしを整えることから「生活と人間関係(社会性)」を学ぶ絶好の機会と捉えていらっしゃるからです。
子どもを手放すことには、もちろん不安や寂しさがありますが、自分の親も、それをこらえて経験させてくれたんだなと思うと、感謝しかありません。
私も、その時が来たら、「ひとり暮らしおめでとう」と言って子どもを送り出してやりたい……。
今から少しずつ、心の準備です……。
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