前回からの続き記事です。
本番の朝
睡眠時間3時間で目覚めた、発表会本番当日。
不安と緊張と寝不足で、私はなんだか沈殿物のように重く沈んでおりました。
でも、幸い、娘は眠れたようだったので、ひとまず私も平静を装い、娘の髪の毛をシニヨンに。
自分の気持ちも落ち着かせるよう、ゆっくり時間をかけて娘の髪をまとめました。
何度も頭飾りを付けたり外したりしてもほつれたりしないよう、できるだけ丁寧に…。
怪我無く無事に踊り切れますように、と祈りを込めて…。
そして、衣装やメイク道具など、大量の荷物を車に積んで、いざ出発!
会場入りした後は、すぐに衣装を出して出演順に並べ、メイク開始。
娘も私も下のアイラインが超絶苦手なのですが、ここが決められると、最初の関門を突破です。
息を止めて…一気にビーッと引きました。
一応合格ラインが引けたかな、という仕上がりに、ホッと胸を撫で下ろす母娘(苦笑)。
早着替えのやり方を見直す
メイクが済んだら、ミーティング。
全員でご挨拶、スタッフさんにご挨拶のあとは、最後の通し稽古です。
このときに早着替えの不安を解消しておきたくて、ほかのママさんたちと手順を再確認しました。
娘の頭飾りは、ピンを通すための輪っかが上下に付いていたのですが、その輪っかが舞台袖では見えなくなってしまうので、もう、輪っかは使わずに、飾りの本体にUピンを串刺し状態にしておき、髪の毛のお団子部分にグサグサッと刺してしまうことにしました。そうすれば暗がりで小さな輪っかを探す必要が無くなるし、少なくとも2点、最悪でも上の方を1点、刺せていれば落ちないだろう、という希望的観測で。
そして、通しでやってみると、この「本体Uピン串刺し法」が功を奏し、間に合いそうな予感が!!!
とはいえ、暗いところで急いでピンを刺すので、多少、娘の頭皮をガリッとやってしまうかもしれないけれど…。
よもや仕方あるまい( ̄ー ̄)。娘よ、許せ。
緊張の本番前
ひととおり通したら、もうお昼です。
本番前なので、あまりたくさんは食べません。
メイクの口紅が取れないよう、ゼリー飲料や、ストローで飲める飲み物を飲みます。食べ物は一口で食べられる大きさにしたおにぎりやサンドウィッチ、カロリーメイトなどを軽くつまむ程度。
衣装は汚すといけないので、いったんレッスン着に着替えて食べました。
私も緊張と慌ただしさであまり食べられず。
食べ終えたら、最初の出番の衣装に着替えて、本番に向けての気持ちを作る時間です。
↑ 鏡で全身をチェックする娘。
前回の発表会では見られなかった光景(前回は小学生だったので、衣装を着せられるままに着て、メイクをされるままにされるだけで、自分で鏡を見るなんてことはありませんでした)。
「自分のことは自分で責任を持つ。」
ずっと先生に言われてきたことをやろうとしている…。
娘の成長を感じました。
娘たちが本番に向けてアップしている間に、母たちは受付の準備を済ませて、ひとまず客席へ。
自分の子どものソロは客席で鑑賞してもいいことになって、嬉しかった(*≧∀≦*)!
でも、客席で娘の登場を待つのも、ド緊張(@_@)。
他の子たちも、ずっと苦楽を共にしてきたので、もう自分の子みたいに思えてきています。どの子の演技も、本当のお母さんと一緒に、ハラハラしながら見守り、無事に踊り終えると、目頭が熱くなりました。
娘、いよいよ登場!
いよいよ娘が登場したときには、私はもう息ができない状態に。
だって、ソロだもの。
いったん舞台に立ってしまったら、舞台上で何が起きようとも、自分1人で対処しなければなりません。
いろんな不安が頭をよぎりました。
そして、曲が流れ、娘が登場。
……息を殺して見ていると……なんと、娘……うっすら笑顔!
Σ('◉⌓◉’)
笑ってる!
あの寡黙な娘が!
練習では笑えなくて、顔が怖いと先生に言われ続けた娘が!
うっすらだけど、確かに笑ってる!
舞台の上で!
もう、ここで私の涙腺は崩壊です(/ω\)。
苦手だったピケも無事に回り切って、笑顔で舞台袖にハケるのを見届けたら、もう号泣( ;∀;)&脱力(*´Д`)…。
この日のために、この瞬間のためにやってきたんだ、と思ったら、いったんトイレに駆け込んで鼻を噛まなければならないほど泣けてきました(T_T)。
冷静な娘
ひとしきりトイレでおいおいと泣き、鼻もかみ終え、次の着替えをさせるため、何食わぬ顔をして(でも目は真っ赤)楽屋に戻ると、娘は淡々とソロの衣装を脱いで頭飾りを取ろうとしていました。
結構冷静な娘にビックリ。
私も少し冷静さを取り戻して、娘が小作品のチュチュを着るのを手伝いました。
↑ トゥシューズのリボンも、もう一度締め直していました。
次の曲に向けて、気合いの入れ直し?
なんだか落ち着いている娘が頼もしく、自分のオロオロっぷりを反省。
小作品も、誰も転んだりすることなく、無事に踊り終えることができました。
ホッとしながら、慌ただしく群舞の準備へ。
群舞は人がたくさん居たし、すぐに早着替えの準備もあったので、舞台袖の写真を撮っている余裕はありませんでした。
でも客席から歓声が聞こえてきていたので、うまくいっているのだろうと思いながら、早着替えの衣装と髪飾りを舞台袖のテーブルにセット。
緊張マックス!
吐きそう(>_<)!
そして、群舞が終わりました。
早着替え、本番!
いよいよ、早着替えです!
娘たちが頭飾りを取りながら走ってハケてきました。母たちは鬼の形相だったと思いますが、もう何ふりかまわず、
(群舞の衣装を)脱がせる( `ー´)ノ!
(頭飾りを)ぶっ刺す( `ー´)ノ!!
(ソロの衣装の背中を)とめる( `ー´)ノ!!!
脱がせる( `ー´)ノ!
ぶっ刺す( `ー´)ノ!!
とめる( `ー´)ノ!!!
……とりあえず、娘の分は、間に合った!!!
自分の子が終わったときにまだ着替え終わってない子がいたら、お互いにフォローし合うね!と、母たちで決めていたので、周りを見ると、他の子たちも出来上がってる!
全員が間に合ってるなんて、奇跡ヾ(≧▽≦)ノ!
喜びのフィナーレ
そして、光の中へ飛び出して行く娘たち!!!
その後ろ姿を見送り、ステージでライトを浴びて最高の笑顔で踊る娘たちを見たら、もう、もう…母たちは、みんな肩を抱き合い、手を取り合って、涙、涙、涙(T-T)!!!
ヘナヘナと脱力しながら、みんなで号泣しました。
光輝くフィナーレを舞台袖からまぶしく見つめ、娘のこれからの人生にも、こんなふうに光が降り注いでほしい、なんてボーっとしていたら、いつの間にか幕が下りて、アンコールがかかっていました。
終幕後
アンコールが済んだあとで、お客様のお見送りに、ロビーに出ました。
以前一緒に習っていた子達が来てくれていて、お母様方とも久し振りにお会いし、一緒に写真を撮ったりしてワイワイ。
花束やプレゼントもいただいて、娘はずっと笑顔。本当に嬉しく、幸せな瞬間でした。
うちの家族も、父(夫)、兄(息子)、両方の祖父母までみんな来ていたので、いつになくみんなで娘をチヤホヤ(*´▽`*)。
そのあとは、現実に戻って、楽屋を片付け、ミーティングをして、会場のスタッフさんたちにお礼のご挨拶をして、帰宅の途へ。
帰りの車で、娘に
「今日、緊張してた? そんなふうには見えなかったけど。」
と聞くと、
「まぁまぁ、普通に緊張してたよ。でも、ソロを踊り終えたら、だいぶマシになった。」
とのこと。
ソロでは、
「笑顔で踊らなきゃ!」
と、必死だったのだそうです。
でも、そんなに必死だったようには見えませんでした。
バレエから学んだこと
どんなに大変でも、必死さを見せずに、優雅に踊ることを要求されるバレリーナ。
美しさや華やかさの裏には、地道な努力がある。
発表会の経験を通して、そういうことが実感としてわかるようになってくれたのなら、バレエを習わせてきた甲斐がありました。
そして、裏方あっての表舞台なのだから、周りの人に感謝。
スタッフさんたちへのご挨拶も、そういうこと。
娘は良い経験をしたな、と思います。
バレエを通して、良いことも悪いことも、本当にいろいろと味わってきました。
投げ出したくなったことも、一度や二度ではありません。
でも、やり遂げた今は、達成感でいっぱい。
「トウシューズでソロを踊る」という彼女なりの目標に、習い始めて5年目にして、やっとたどり着くことができました。
その日の帰宅後は、キューパタンでした。
しかし、翌日、娘は普通の顔して普通に登校。
今度は学校の文化祭に向けて、作品や合唱の追い込みなんですって。
若いって、素晴らしい(;・∀・)。
アラホーの私は、衣装を返送したあとは、言うまでもなく廃人で、いまだに沈殿物です。
言うなれば、汚泥。
のろのろと衣装袋を片づけたり、メイク道具をボーっと眺めたりしているうちに1日が終わってしまいます。
燃え尽き症候群って、こんな感じ(^^;)?
今は、本番の日のDVDが出来上がってくるのを楽しみに待ちながら、なるべく早く日常に戻ることが、私の目標です。
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本とともにある暮らし