ママンの書斎から

ミドフォーママンの考えごとなど

教える側の立ち位置

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最近、あるところで、ある習い事の先生が、子どもたちが学校や勉強を優先し、両立が難しくなってくると習い事を辞めていく、ということについて、面白く思ってないようだ、という話を聞きました。

 

その先生は、ご自分が教えていることについて、誇りがあり、自負があり、矜持があるのでしょう。

本気で、子どもたちに向き合ってくださっているのだと思います。

 

 

でも、

「自分はその分野で進路を切り開くほどの才能も情熱も足りていない。」

と思い至った子どもや家庭が、そこから方向転換して、学業や他のことに舵を切ったとしても、それは責められないんじゃないか、と、私は思うのです。

 

 

習い事は、それで食べて行けるほどの才能に恵まれたなら素晴らしいことですが、すべての子がプロになれるわけではありませんし、プロになったからといって一生食べて行けるとも限りません。

子どもの将来を本気で考えたとき、例えば学業を優先するという選択があってもいいはずだし、そういう選択をした子どもや親御さんを責める権利までは、先生は持ち合わせていないのではないかと思います。

 

 

先生とは、子どもたちの人生の数年間(あるいはもっと短いことも)、寄り添う存在に過ぎないのではないでしょうか。

 

 

もちろん、そのいっときの触れ合いが子どもの人生を変えるほどの影響力を持つ場合もあります。

でも、それは、あくまで生徒が決めることです。

「自分がこれだけ教えているのに。」

「自分がこれだけ目をかけてやっているのに。」

「他のことを優先するなんて、けしからん。」

などと、教える側が、自分主体の考え方に陥ると、教育は失敗するんじゃないかと思います。

 

 

教育の主人公は子どもであり、生徒です。

生徒のニーズに沿うてやりたいと努力するのが、「先生」なのではないでしょうか。

 

 

 

うちの息子が中学生の時、学校のテスト前に組まれた試合の出場を見送りたいと言った時、コーチがおっしゃいました。

 

「はぁ?…試合に出ない…?…まぁ…こちらから勉強するなとは言えませんからね。」

 

こんなトゲのある言い方をされて、息子はとても悩みました。はたで見ていて可哀想なくらい……。

その競技を最優先しないことを暗に責められて、勉強したいという気持ちを持つことが悪いことのように感じてしまいました。

(私は、学校の部活でもないし、団体戦で他の人に迷惑がかかるというわけでもないし、今回のテストは失敗できないのなら、試合は無理しなくていいのでは?というスタンスでした)

 

 

 

娘のバレエのお友達も、バレエがどんなに忙しくても勉強も頑張っているので、

「テスト前の1日だけ、レッスンをお休みしたい。」

と先生に申し出たのですが、

「それは困る。ちょっとでもいいから来て。」

と言われて、とても困っていました。

 

 

私自身も、高校時代の部活のコーチが外部コーチだったのですが、他校も絡む大事な練習の日に、私がパートリーダーを務めていたパートの後輩が学校行事の係の仕事で抜けられず、練習を休む旨をコーチに伝えると、

「大事な練習だとわかっていて、なぜお前はそいつらに来いと言わない!?」

と、他校生も含めた大勢の前で叱責されたことがあります。

(じゃあ、コーチみずから学校に掛け合ってくださいっていう話です)。

 

 

才能があって、オリンピックの代表になっているなど、学校のことや勉強のことは二の次とされて当然という環境にいる人なら、それはもう特殊な環境なので、何を置いてもそれを優先すべきなのでしょう。

 

 

でも、多くの子はそうではないわけで……。

学校のことや学業は、最優先されて当たり前なのでは……?

 

 

なのに、学校や勉強を優先する素振りを見せると不機嫌になってしまう指導者って、わりと多くいるよな〜、と感じます。

 

プロにならなくても、習い事を通して何か学ぶものがあってくれたら、それでいいのではないでしょうか?

それだけでは、教えた甲斐があったと思えないのでしょうか?

 

 

何かの競技や芸術の分野に才能が認められる子は、その活動を制限されない学校に進学するでしょうし、そうでない子は、少なくとも最低限、学校のテストはパスしないといけないわけで……。

 

 

私も教育の分野に多少なりとも携わる者として、「子どもたちの成長には、勉強だけが大事なわけではない。でも、だからといって勉強を疎かにしていいというものでもない。」

ということを、常に痛感しています。

 

 

子を持つ母親としては、学業と習い事のバランスの取り方には、常に頭を悩ませているところです。

 

 

そして、何かの指導者という立場の方には、学校との両立の仕方(両立にまつわる子どもの生活のハードさ)というものを、もっと考えていただきたいという気持ちもあります。

 

 

子どもによって、学生時代に熱中するものは、それぞれ違います。

 

指導者は、子どもの人間的な成長を大局的に見て、何かを頑張ろうとしている子には、たとえそれが自分の専門分野でないにしても、

「それを頑張ることによって、あなたが成長する。それが1番大事。がんばれ!!!」

と、応援の言葉をかけてやってほしいなと思います。

 

 

……子どもたちがグンと伸びたり伸びなかったりする夏休み……。

ちょっと、力、入っちゃいました(苦笑)。

 

 

 

 

 

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