ママンの書斎から

ミドフォーママンの考えごとなど

『それでも人生にイエスと言う』

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もう10年ほど前に買った本なのですが、今でも時々読み返す本があります。

疲れた時、不安な時、虚しくなった時など、ちょっと元気が出ないことが続いていると、ふと思い出す本です。

 

それでも人生にイエスと言う

それでも人生にイエスと言う

 

 

かなり長いこと売れ続けているようなので、有名なのかもしれません。

 

著者のV.E.フランクルさんは、第二次世界大戦下、ナチスによって強制収容所に入れられたという経験をされた、精神科医です。

 

題名の、「それでも人生にイエスと言う」という言葉は、ブーベンヴァルト強制収容所で囚人たちによって歌われた歌の一節だそうです。

 

まず、この、「それでも人生にイエスと言う」というフレーズが、頭から離れなくなります。

 

強制収容所での生活は、想像を絶する過酷さであったはずで、明日にもガス室へ送られるかもしれないという状況の中で、こんな人生を肯定するような歌詞の歌を作って歌ったということに驚きます。

絶望しかないような状況下でも、こんなことが言えるのかと、人間の底知れない強さを見せられて、畏敬の念が湧いてくるというか……。

 

強制収容所に送られた人々からすれば、今の私の生活など、十分に満たされて、まるでままごとのようにふわふわとした、幸せな生活と言えるでしょう。

 

でも、恵まれた人生でも、それなりに日々に疲れ、将来に不安を感じることは、よくあります。頑張っても変わらない、そして終わりのない状況に虚無感を覚えることもしばしば……。

 

 

でも、著者は、

私たちが「生きる意味があるか」と問うのは、はじめから誤っているのです。 

 と言っています。

 つまり、私たちは、生きる意味を問うてはならないのです。人生こそが問いを出し私たちに問いを提起しているからです。私たちは問われている存在なのです。私たちは、人生がたえずそのときそのときに出す問い、「人生の問い」に答えなければならない、答えを出さなければならない存在なのです。生きること自体、問われていることにほかなりません。

 

生きる意味があるから生きるのではなく、生きることそのものが、人生から出された問いに答えることである。

 

要約すると、そんなところでしょうか。

 

人生はそれ自体意味があるわけですから、どんな状況でも人生にイエスという意味があります。

 

だから、ただ生きればいい。

自分の人生にイエスと言って(自分の人生を肯定して受け入れ)、とにかく生きる。

 

 

 

若いころは、自己啓発本や、成功哲学の本などによく見られる、

「何事も前向きにとらえるとうまくいく!」

「成功したところをイメージすれば夢が叶う!」

というような考え方に元気をもらった気がしたものですが、子育てや家族の病気など、思い通りにならないことを経験してきた今では、「ひたすら前向きに!」という考え方には無条件に賛成することができなくなりました。

 

 

なんかもう、いろいろ、ぜんぶ、嫌だな。

今日はもう、なーんにもやりたくない。

テレビのリモコンをあっちからこっちへ持ってくることすら面倒。

毎日こんなこと繰り返して、何か意味あるのかな。

私の将来って、どうなっちゃうんだろう……。

 

 

そんな「虚」な私に陥ることがあるのです。

「いつも前向きに!」なんて、無理……。

 

 

そんなときに、ふと思い出すのが、

「それでも人生にイエスと言う」

というフレーズです。

 

 

あ、そうだ、「それでも人生にイエスと言う」んだった。

とりあえず、生きるんだった。

意味とか答えとかわからなくても。

生きること自体が、いつか答えになるから。

……とりあえず、リモコンくらいは持って来るか(苦笑)。

 

しょうがないなあ、どうなったって生きるしかないから。

 

 

「それでも人生にイエスと言う」の、「それでも」のところが、「いまが辛くても」「いまいちパッとしなくても」「元気じゃなくても」「うまくいってなくても」などに置き換えられて、「いつも前向きに!」という自己啓発本より、じんわりと私に力を取り戻させてくれます。

 

強制収容所にとらえられた人たちの過酷な運命と、今の私の生活を比べられるものではないと思いますが、どんなに追い詰められても、自分で自分を救う言葉を紡ぐ力が、人にはあるのだという事実に、勇気づけられるのです。

 

 

なんだか、こなしてもこなしても次々やってくるいろいろに、終わりが見えないような息苦しい気持ちになり、久しぶりにこの本を引っ張り出しました。

疲れていますね、私(苦笑)。

でも、今朝も読んだので、大丈夫です。大丈夫になりました。

 

 

翻訳ものなので意味が入って来にくいところもありますが、何度も読み返していると、その都度違うところが自分に響きます。

これからも手元に置いておきたいと思う本です。

 

 

 

 

 

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