今日は、私がこれまで仕事や子どもの勉強を見るなかで、よく見かけた国語の文章をいくつか挙げてみたいと思います。
いろいろな参考書や問題集、模試などで、触れることの多かった題材です。
『植物はすごい』(田中修)
植物はすごい - 生き残りをかけたしくみと工夫 (中公新書)
- 作者: 田中修
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/07/24
- メディア: 新書
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「ロゼット」という、丸く地面を這うように葉を広げて日照を確保する、植物の生き残り戦略を読んだら、確かに「植物はすごい」と思いました。植物という、具体的でイメージしやすい対象を扱っているので、自然科学系の説明文の中でも、読みやすくわかりやすいほうだと思います。
『和の思想』(長谷川櫂)
数年前に入試問題の世界(笑)で大流行していた印象です。同じ年にさまざまな都道府県の高校入試に使われていました。日本と外国の違いを述べた、比較文化系の内容です。
「和」というのは、いかにも日本的な「和」を指すのではなくて、異質なものが溶け込んでいるのが「和」である(例えば、洋風建築の中に畳の空間があって、さりげなく調和している、というようなこと)という主張に、なるほどと思いました。
『なつかしい時間』(長田弘)
詩人として有名な長田弘さん(「言葉のダシのとりかた」など)ですが、散文もよく使われます。随筆(エッセイ)なのか説明文なのか、判断に迷う感じなのですが、入試では説明文の扱いで出題されていることが多いようです。
言葉の紡ぎ方や、本を読むということについて、ぐっと深く考えさせられる内容が多いです。
『美しいを探す旅に出よう』(田中真知)
中学生にはちょっと難しめかもしれませんが、ちょこちょこ見かけます。頭のなかに概念を持っていないものについては、「目の前にあっても、そこにあると認識できずにスルーしてしまう」というようなことが書いてあった記憶があります。だいぶ前に読んだので忘れてしまったところもあるのですが、抽象的な概念(美意識)というものについて書かれている文章です。
『ちぐはぐな体ーファッションって何?』(鷲田清一)
『わかりやすいはわかりにくい?臨床哲学講座』(鷲田清一)
この方は哲学系説明文で頻出の方です。さまざまな大学で教授や学長を歴任されています。ファッションを切り口として哲学している文章なので、ファッションに興味のある中高生には、意外と取っつきやすいかもしれません。
『科学の考え方・学び方』(池内了)
この方は自然科学系説明文の代表のような存在ですね。しょっちゅう見かけます。
たくさん著書があるなかでも、これは岩波ジュニア親書なので、中高生向けに書かれていて読みやすいと思います。
説明文の読解に使われる文章は、自然科学系、比較文化系、哲学系などの内容が多いと思います。他には、環境問題系もありますが、それは説明文としてというよりも、それを資料として作文を書かせる問題で使われることが多くなってきたような気がします。あとは、言語系(日本語を考えるというような)もありますね。
公立高校入試に限って言えば、私立より題材文が短く、素直な文章が選ばれているようなので、普段から、新書やジュニア新書に読み慣れていくといいと思います。
上記のものは、これまでに出し尽くされた感があるので、これから先の入試に出るかどうかはわかりませんが、取っ付きにくい説明文の文章に慣れるという意味で、朝読書や読書感想文を書かなければならないようなとき、その機会を利用して読んでおくといいでしょう。
息子には、養老孟司さんの『「自分の」壁』を読ませたりもしました。
内容がわからなくても、著者を知っているとか、読んだことがあると思うだけで、取っかかりがよくなるのではないかと思います。
息子は小さいときから、図鑑系は好きだけれども、ストーリーを追わなければならない小説などは苦手でした。説明文も苦手ですが、植物や動物、科学系だとまだ取っつきやすいようなので、自然科学系のものを薦めたりしています(読みませんがね(笑))。
娘は小説は好きなのですが、科学系はアレルギーのようなので(笑)、比較文化系や言語系、鷲田清一さんのようなファッションを入り口とした哲学系や、田中真知さんの美意識についての文章などから攻めてみようと思っています(笑)。
興味のありそうな分野から読み慣れるのがいいということですね。
他にもいろいろあるのですが、1度に書ききれませんので、それらはまたおいおいということで……。
小説や詩についても、ちょこちょこ紹介していきたいと思います。