痛ましい事件が、また起きてしまいました。
小学生の女の子が犠牲になりました。犯人は保護者会会長……。
こういう話は、もう聞きたくありません。
テレビのコメンテーターのどなたかが言っていました。
「子どもを一人で登下校させない取り組みが必要ではないか。」
と。
「日本では小学生になると、子どもだけで登下校するようになるが、欧米では保護者の送迎が当たり前のこと。」
とも言っていました。
私も、ふだん送迎が疲れる疲れると愚痴ってはいるのですが、子どもが登下校中に誰かに連れ去られ、乱暴されたり殺されたりするくらいなら、親の送迎が義務化されてもいいと思っています。
ただ、親も仕事がありますから、保護者が子どもを送るために出勤が少し遅れることや、迎えのため早く帰る、あるいは一時職場を離れることについて、職場のほうでも当たり前のこととして受け入れてくれるシステムがないと、難しいんだろうなと思います。
そのへんのところ、欧米ではどういうシステムになっているのでしょう?
子育てのための時短勤務をすると、そのぶんをカバーしてくれる人が必ずいるわけで、カバーする人のお給料が上がるわけでもなければ、カバーする側には不満もたまるかもしれません。
もちろん、時短勤務する方も、「申し訳ない」という気持ちは持っていると思うのですが。
私は在宅勤務を選んでいるので、今は毎日送迎することになっても対応できます。というか、子どもの送迎もろもろに対応できる状態をキープするために在宅勤務を選んでいます。本当は、もっと収入を増やす必要があるので、別の仕事があればフルタイム勤務でも飛び付きたいところではあります。
でも、祖父母も遠いところに住んでいるし、送迎が必要になるたび、他のママさんにお願いするわけにも行きません。
あと数年は、このままの仕事、勤務形態を続け、出来る限り子どもの生活をサポートしようと思っています。子どもの安全優先です。
でも、学校の送迎バスなどがあったら、それを利用してフルタイムに切り替えることも出来るのにな……と思ったりします(子どもの学校では、以前は送迎バスがありましたが、最近、諸事情で廃止されました)。
そうでなければ、自分で自分の子どもを毎日きっちり送迎しようと思ったら、9時から15時くらいのパートタイムでなければ無理ですね。それでも、気象状況などによる急な下校時間の変更やお迎え要請には対応できないでしょう。
いずれにしろ、欧米にならって、子どもの送迎を親の義務とするには、まず社会のシステムが変わらないと、親だけの努力ではどうにもならないところがあるのではないかなと思うのです。
私が子どもの頃は、日本全体が、
「子どもの登下校を親が手伝うなんて過保護だ。」
という考え方だったと思います。
今も、そういう風潮は根強く残っています。
でも今は、昔とは違います。日本は平和だ平和だと言いますが、こんな田舎でも、不審者情報は頻繁に出てきますし、物騒な世の中になったのだと認めざるを得ません。
交通事故、災害、不審者……現代の子どもの登下校には、昔とは異なるさまざまな危険が考えられます。
うちの子どもたちは中学校に入ってから自転車通学になりましたが、私は、できればこの自転車通学もさせたくありません。いくら自転車保険に入ったところで、田舎の、ガードレールさえきちんと整備されてないない国道を自転車で、重い荷物を背負って走るということの危険が減るわけではないからです。もしガードレールのないところで、バランスを崩して道路側に転んだら……と思うと、怖くて何も手につかなくなります。実際、毎年、学校で把握しているだけでも何件かの交通事故は発生しているのです。
そういう意味では、時間もかなり取られるし、ほとほと疲れるのですが、送迎のほうがまだ気が楽です(冬場の雪道の送迎は、送迎も危険ですが)。
子どもの登下校中の悲しい事件があるたび、加害者を責めて、遺族の気持ちを思って嘆くけれども、ニュースで取り上げられなくなればだんだんと忘れてしまい、また同じような事件が起きて、「またか」と嘆く……この繰り返しですよね。
加害者がいちばん悪いのはもちろんですが、不審者はそう簡単に無くならない……それならば、まず子どもを守る対策を考えなければならないと思います。
それも、それぞれの親個人の努力に任せるのではなく、社会全体で、子どもを守る親もサポートする態勢を作ること。
でないと立ちゆきません。
それから、親が迎えを済ませたあと職場に戻るなら、学校側にも、時間を守って下校させるという意識改革が必要です。突然子どもを放課後残したりしないようにしてもらわなければならないということです。けっこうあるんですよね、急な居残りで遅くなることが。
親が迎えに時間を取られ過ぎないように、学校でも下校時間を守ってパッと帰すことを徹底してくれないと、なかなか出てこない我が子を延々と待つのは、けっこう大変です。
公立の学校であれば、自治体で送迎バスを出すとか、地域でも何か対策があれば、親の負担は減らせると思います。
現在、保護者のみならず、地域の方々が登下校の見守りなどをしてくださっているところが多くあります。それは本当にありがたいことです。しかし今回の事件は、見守る大人が犯人だったという最悪の結末でした。もちろん、今の見守りの方々を疑うというわけではありません。でも、
「そこから犯人が出るなんてことがあるの?」
と、ショックなのです。
今後、どうしたら登下校中の子どもを守れるのか、不安を感じている保護者は、私だけではないはずです。
でも、ここまで述べた 私の意見は一保護者としての意見に過ぎず、同じ保護者でも、兄弟が多いご家庭などは、下校時間の異なる子どもをすべてピックアップして帰るなんて無理だという意見もあるでしょう。学校や地域でも、集団登下校や見守りなどの対策で手一杯だという現状もあるのかもしれません。子どもは子どもで、友達と話しながら登下校する楽しさを奪わないで!と主張するかもしれませんね。どういう登下校の方法をとるか、選択制にするということもありなのかもしれません。
とにかく、子ども、保護者、学校、地域、親が務める会社など、それぞれの立場での意見を出し合ってみることによって、何か道が見えてくるのではないでしょうか。
子どもだけでの登下校の危険性について、もっと社会全体で考えること。
それが急務だと思います。