年末の山積みタスクから現実逃避して、本を読んでしまいました(笑)。
ママンの日常は、意識して家事育児を遠ざけないと、自分のやりたいことは、まずできません。分刻みで雑務に追われて、1ページも本が読めないという日々が続くと、プッツン切れてしまいます(苦笑)。
今日は、そんな日。
家事も育児もいったん全部脇に置き、本棚から無造作に本を引っ張り出して、ソファーに沈んだわたくし……家族は戦々恐々として柱の陰からそんな私を見ていたけど……
知ったことか!
私は本が読みたいんじゃ!
ということで、読んだら……落ち着きました(笑)
大江健三郎さんの『「自分の木」の下で』と、『「新しい人」の方へ』。2冊セットで読んでほしいエッセイ。優しい挿し絵は、奥様の大江ゆかりさんによるもの。
『「自分の木」の下で』は、子どもたち(と言っても中学生くらい)に向けて、そして『「新しい人」の方へ』は、それより数年年長の人たち(高校生から大学1年生くらいにかけて)に向けて書かれたエッセイのようです。
大江健三郎さんといえば、ノーベル文学賞を受賞されていることが有名ですが、実生活では、奥様と、障害のある息子さんはじめ、お子さんたちをを大事に育てた、「お父さん」だったのですね。これらのエッセイで初めて知りました。
ところどころ難しい言い回しがあったりしますが、子ども向けだということで、難しい言葉を平易に書き換えるということをずっと考えながら書かれたそうです。中学生からの感想が一番多く寄せられたとあとがきにありますから、中学生が読むのにいい本なのではないでしょうか。
最近の小中学生向けの本は、漫画やアニメのようなイラストの装丁が多く、文章も話し言葉をそのまま書き起こしたような文体のものが多いですよね。話しかけている設定?だったり。そのほうが、子どもがとっつきやすいのでしょうが、たまにはちょっと難しそうなクラシックな趣の本に背伸びして挑戦する、そんな体験も、読書体験の1つとしては、いいものかもしれません。
この2冊のエッセイは、そんな最近流行りの軽いタッチの本とは趣が異なりますが、読んでみると深いですから、うちの子どもたちにもいずれ読んでほしいと思っている本です。
( うちの子たちのレディネス(受け入れ準備)を考えると、もう少し先になるかなあ……そろそろ読ませてみたいけれど……)
『「新しい人」の方へ』では、最後の方は、お母さんたちに向けたような内容にもなっており、著者に寄せられた感想にも、母親たちからのものが少なくなかったようです。
さて、前置きが長くなりましたが(笑)、内容について少し。
どちらも、著者ご自身の体験に基づき深く考察された内容で、なるほどなあと考えさせられます。私が特に感銘を受けた章を挙げてみますと……
- 『「自分の木」の下で』……「ある時間、待ってみてください」
- 『「新しい人」の方へ』………「頭をぶつける」「生きる練習」「本をゆっくり読 む法」
「ある時間、待ってみてください」という章には、子どもたちへ、何かうまくいかないことがあって、よからぬことを考えそうなとき、取り返しのつかないことをしてしまいそうなとき、「ある時間、待ってみる力」をふるい起こしてほしいということが書かれてあります。思い詰めたときの衝動に身を任せるのではなく、意識して少し待ってみること。そうすれば少し状況が良くなったり、ガラッと変わったり、思いがけなく解決したり、そういうことがあるから。特にも子ども時代の「ある時間」には待ってみるだけの価値があるから、と。
「頭をぶつける」は、著者のお母さまも出てきますが、お父さまの思い出が主なエピソードです。著者が子どもの頃、とにかく同じところに何度も何度も、ガーンと頭をぶつけるわけです(笑)。それについてお父さんがどんな反応をしていたか。笑ったらいけないのかもしれませんが、笑ってしまいました。でも、親とはどう子どもを見守るべきか、たいへん参考になりました。
「生きる練習」は、著者のお子さんたちのエピソードですが、次男さんが穴に落ちるときの言葉(笑)!ご本人は真面目な叫びだったんでしょうけど、ウケます!
「本をゆっくり読む法」には、本は、速読するのではなく、ゆっくり読むものでは?というようなことが書かれています。私もそう思います。特に文学作品やエッセイは行間を読みたいし、やっつけ仕事のようにワタワタと読んだら、忘れるのも早いですからね。自分の血肉となる読み方は、圧倒的に「ゆっくり」の方でしょうね。
長くなってきちゃいましたのでこのへんにしますが、中高生や高校生、そしてそのママンたちにもおすすめなこの2冊のエッセイ。
時にはすべてを放棄して(たとえそれが年末であっても!)、ゆったりとくつろいで、本を読んで心に栄養を(笑)!!!